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強さというもの

2006.09.24


ひとりで旅をしていても、ふと他人のぬくもりに触れる機会はある。


ヘイブンの街外れを歩いていたら、ひとりの女性に声を掛けられた。

駆け出し冒険者の支援を行う団体の者だと語るその女性は、年のころも私とそんなに変わらないだろう。しかしその華やかな格好や柔らかい雰囲気は、土埃にまみれた私とは雲泥の差があるように感じられる。ところどころほつれた皮鎧を身にまとった自分が、急に恥ずかしくなった。

その華奢で可憐な見た目に反し、彼女はとても博学だった。冒険を行うのに必要な知識を、こちらが恐縮してしまうくらい丁寧に、そして分かりやすくレクチャーしてくれる。これまでの経験ですでに学んでいた知識もいくつかはあったが、再確認するよい機会となった。

何の気なしに、自分に合った防具がなかなか見つからず、買い替えも満足にできず困っていることを話してみた。すると、彼女の口から驚くべき一言が飛び出した。

「よかったら、防具一式お作りしましょうか?」

…なにいッ!ほ、本当ですか!
それは大変ありがたい、ということで彼女と連れ立ち、防具の材料(リザードマンの皮)調達に向かった。リザードマンはこれまでに何度か倒してきた相手なので、落ち着いて1匹ずつ倒すことを心がける。

ふと気がつくと、包帯を巻く前に傷が治っている。彼女が回復魔法で後方援護してくれているのだ。今までずっとひとりで戦ってきた私にとって、初めての驚きであると同時に、これほど心強いことはなかった。
今になって思えば、この時が私がパーティというものを最初に組んだ瞬間だったのだろうと思う。

必要な量の皮の調達も終わり、いよいよ彼女の裁縫の腕前を見せていただくことにする。
彼女は慣れた手つきで次々と防具を縫い上げていき、なんと、ほんの数十分の間に防具を縫い上げてしまった!
縫い上げられた防具の数々は、形状こそブリタニア風であるものの、肌触りや軽さ、身に付けたときの動きやすさはそれまで着けていた防具とは天と地の差ほどのものであった。

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その鮮やかな所業にしばし見とれていると、彼女はさらに一瞬耳を疑うようなことを口にした。
なんと、これらの防具を無料で提供してくれるという。
本当に何から何までお世話になってしまい、申し訳ない思いでいっぱいになった。しかし彼女は特に気にするでもなく

「あなたがこの防具を身に付けて戦って、もっと強くなってくださるのが私の喜びですから」

にっこりと笑い、こうさらりと言ってのけた。
その笑顔には自分の為すべき役割にしっかりとした誇りを持つ者の強さが現れていたように思えた。


彼女の姿から教わったことは、その後の私にとって大きな意味を持っているように思う。

まず、技術を磨くだけでは、本当の意味での強さを身に付けることはできないということ。
何よりも、自分自身に対する誇りを持つことが重要なのではないか。

そして、強さと女性らしさは両立できるものであるということ。
このところずっと、寝ても覚めても鍛錬のことしか頭になく、あまりに外見に目を遣っていなかった自分を省みる。


…よし、今日からは少し念入りに髪を梳かしてから街に出よう。
強さと女性らしさを兼ね備えたしなやかな存在に、少しでも近づけるように。

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プロフィール

Katharina

Author:Katharina
ブリタニア/トクノハーフ。
家族の死を機に住み慣れた徳之島を離れ、単身ブリタニアの地に降り立つ。
槍戦士。魔法は全く使用できず。隠し芸有り。

*時系列に沿って記事を書いているため、最終更新日時が実際と異なる場合があります。

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