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油断大敵

2006.09.28


さて、駆け出しとは言えいつまでもヘイブン近辺にばかり居てもしょうがない。

ユーには包帯の原料となる羊の毛を刈るために何度か訪れていたのだが、そういえば他の都市のことをほとんど知らないことに気付いた。
せっかくブリタニアまで来たのだから、ブリタニアのいろいろな都市を見て回ることにした。
とは言え、フェルッカに行く勇気はまだない。まずはトランメルの都市を順番に訪れてみる。

まずはブリテイン。
やはり首都だけあって街中も活気付いている。とくに第一銀行前などは人でごった返していた。街の広さもヘイブンとは比べ物にならない。

ブリタニア第二の都市、トリンシックも立派な街であった。パラディンの街だけあり、建物のひとつひとつが光を放っているようにも見える。
しかしながら、これだけの街でありながら冒険者とほとんどすれ違わないのは何故だろう?

他にも、ジェロームやヴェスパー、ミノックやスカラブレイなどさまざまな街を歩いたが、共通するのは冒険者の数が少ないこと。
トランメルではブリテインとヘイブンに冒険者が集まる傾向でもあるのだろうか?
フェルッカではまた傾向が違うのかもしれない。もっと強くなったらフェルッカを歩いてみよう。


ユーの森を歩いている途中、街道沿いに行き先看板を発見した。どうやらユーからブリテインへと至る街道があるらしい。
これまでは街の移動にムーンゲートを使用していたため、街と街の間の位置関係など全くわからなかったが、この地で暮らしていく以上、いつまでもそんなことを言っていられない。よい機会なので、徒歩でブリテインまで向かうこととする。

途中どんなモンスターが出てくるのだろうと最初はおっかなびっくりだったが、目の前に出てくるのは主に亜人(オークやエティン、オーガなど)ばかり。これなら私のレベルでも落ち着いて倒せる。なんだ、結構楽しいじゃないか…などと私は次第に警戒を解き始めていた。

そんなとき、危機は突然やってきた。

道のりも後半に差し掛かったころ、前方にひとりの老人が目に入った。ボロボロの薄汚れた衣を身にまとってはいるが、妙に姿勢がよい。
その老人が私に気がつき、こちらを見た。その双眸にほとばしる赤い憎しみに気付いた瞬間………私の身体を電撃が襲った。意識が遠くなりかける。

…リッチだ!

酒場での冒険者の話などからその恐ろしさをいくらか聞いていただけに、全身から血の気が引いた。しかしここは街道のど真ん中。助けを求めて駆け込む相手も、場所もない。
とにかく迎撃しなければ…
包帯もそこそこに慌てて相手の懐まで走り込み、攻撃を浴びせようとする。しかし相手のほうが身のこなしは数段上、攻撃は簡単にかわされてしまう。
それでもめげずにリッチに近づこうとすると、体が突然重くなるのを感じた。武器を振るおうにも、いつものような速さで振るうことができない。

「…!?」

身体能力を一時的に低下させる魔法があると聞いたことがあったが、もしやこれか…!
不幸なことに、このときの私の装備は物理抵抗にウエイトを置いたものであったため、魔法攻撃に対しては裸も同然。浴びせられる魔法の一撃一撃が、私の体力をどんどん奪っていく。
意識が寸断され、我に返った次の瞬間、視界が暗転した。


気がつくと、目の前にはさっきまで私を激しく攻撃していたリッチの死体があった。

…あれ?確かさっき私は意識を失って…

事態が把握できず周りを見回すと、そこにはひとりの男性が佇んでいた。被っている兜の形状がなんだか禍々しく、一瞬警戒したが、すぐにその誤解は解けた。
Lord Aubecと名乗るその男性は年のころは40代くらいだろうか、黒い肌と鋭い目が印象的な気品ある男性だった(兜は禍々しいが)。彼が通りがかったとき、ちょうど私がリッチの魔法を浴びて気絶するところだったようで、見かねて助けてくださったという訳のようだ。

安堵が全身を支配すると同時に、何かお礼をと思い立ち、散らかっている自分の荷物を慌ててかき集める。冒険に必要な最低限のものはなんとか残っていたが、いくつかの武器は奪われてしまっていた。所持金も全て奪われてしまったようで、満足なお礼ができないことを告げると、彼は気にするな、と一言告げ、そのままユーの方面に去っていった。

Aubec卿がたまたま通りがからなかったら、おそらく私はあの場所でだれにも知られず一生を終えていただろう。そう考えると改めて背筋が凍る思いがしたし、偶然とAubec卿の親切に心の底から感謝した。

一息つくのもつかの間、またリッチが出てきてもらっては先ほどの二の舞だ。慌てて街道を走りぬける。ブリテインの街の明かりが見える頃には、もう夜もとっぷり暮れたころだった。
重い身体を引きずって宿屋に入る。身体を清めることもせず倒れこむようにベッドに入り(今思うと宿屋には申し訳ないことをした)、ただひたすら泥のように眠った。

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プロフィール

Katharina

Author:Katharina
ブリタニア/トクノハーフ。
家族の死を機に住み慣れた徳之島を離れ、単身ブリタニアの地に降り立つ。
槍戦士。魔法は全く使用できず。隠し芸有り。

*時系列に沿って記事を書いているため、最終更新日時が実際と異なる場合があります。

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